精神障害者雇用23年とアメーバ経営と行政支援者の本気度

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今週は、アルミかばん製造販売のアクテック株式会社芦田社長のインタビューと視察です。従業員50名(障害者4名(精神4名))、年商は非公開、近年の製品は、インターネットを中心に、お客様の用途に合わせ、一台から受注生産をしています。他には、ICTを組み込んだ業務用のアルミケースも、作っておられました。

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障害者雇用のきっかけは、雇用を始めた1990年の枚方保健所の精神保健福祉室石神室長との出会いです。当時は、障害者雇用のイロハも無く、頑なに拒んだそうですが石神様は、「何かあれば私が全責任を負います。ですから芦田社長は、精神障害者を普通に働かせていただけますか?」とおっしゃったそうです。

芦田社長も「精神障害者の就労」に情熱と真剣さと優しさに溢れた言葉を聞き、心を動かされ雇用を決めたそうです。しかも精神障害者が孤立しないように初回から三人を採用したそうです。

雇用を開始したもののバブル崩壊の影響で、売上が2年で約半減し、倒産するかもしれない。人員削減がとっさに浮かんだそうです。精神障害者を引き受けたばかりだし、そして何より人員削減をしたら、退職した彼らとは地域のスーパーや公園で会うかもしれない。お互いに気持ちは良くない。しかし、人件費が重くなる…。考えに考え抜いた上、健常者障害者とも人員削減無しで経営することを英断されました。当時を振り返ると手形取引が無く、現金決済で行っていたのが良かったのではないか?と感慨深い表情でおっしゃっていたのが印象的です。 小生が同状況で経営(社長)していることを想像すると、心労は大変負担がかかり、病気になる程、胃が痛んだのではないかと察します。

少し横道にそれますが、精神障害者の方の勤続平均年数(平成20年度障害者雇用実態調査結果より)は、6年4ケ月ですがアクテック様の勤続平均年数は、12.45年(インタビューより)で、他社に比べ2倍の長期勤務です。参考までに最長勤務の方は、17年になります。定着の秘訣は、自分の出来る範囲で仕事が出来ると納得すると続くとのことで、精神障害者の彼ら自らがそう思い(会社側は、やって頂く環境)取り組む環境を創ることが大事です。

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インタビューは進み、感動感銘しましたのは、第1に、試行錯誤の連続で粘り強く、雇用し続けて来られたことです。今でこそ支援機関があり、しっかりとした支援制度があります。雇用開始当時の連携では、保健所、医者、出来たばかりのソーシャルワーカーは、精神障害者の学術情報蓄積不足、制度上(1995年に法律制定)の精神障害者ではないことなど、今の数倍大変だったと察します。さらに深くお聞きしたかったですがこの当時のこともお聞きしてしまったら芦田社長の時間を拘束してしまいます。長年に渡る細かな工夫や苦労した点、改善の具体的な話は、深すぎると思いましたし、他に伺いたいこともあり、次回の機会にさせていただきました。

第2にアメーバ経営は、バブルが崩壊した時期に導入しています。アメーバに見立てた小集団部門別採算制度での各部門は、いくつかありますが、精神障害者が三人いる部門は、他の精神障害者がいない部門よりも、成績が良くなっている事実です。

成績が良くなっていることが意味することは(見方によりますが)精神障害者は、入社当初、経験不足で健常者におとるものの長年勤務すれば、健常者部門の成績を追い越すことです。穿った見方をすれば、精神障害者に出来るわけがないと高を括っていたのでしょう。健常者は、長年勤務で慣れてはいますが、自分自身の動機づけ(志)を高く持っていないと年々生産性や思考パターンが凝固ってきます。しかし、精神障害者は、長年勤務するとなぜ逆転してしまったのでしょうか?それは、精神障害者の個性である「真面目にコツコツ」やってきたことと、同じチームの健常者が彼らを気遣って常に声がけしていて、結果チームワークが格段に向上したのです。チームワークが成績を良くした要因で、芦田社長曰く、「チームワークとは?」を深く考えさせられたそうです。アメーバ経営では、「役割を果たす。責任を果たす。それを全員で実施する。処々段取りを準備する」ことを常日頃から実施しますが、精神障害者がいることで、気遣いをするようになる、雰囲気が優しくなるといった効果が相重なり、より良いアメーバ経営の潤滑油にもなるのではないかと個人的には、感じました。
 *ちなみ私もインタビュー中、チームワークとは?と聞かれましたがあり来たりで、「1ケの目的・目標のために複数で協力し合って取り組むこと」と答えました。

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第3に精神障害者の評価制度と雇用維持のバランスの取り方です。小生のヒアリング内容がよろしくなかったのですが、総合的に勘案すると複数もしくは、部署全員で、採用、体調管理、評価、技術向上、コミュニケーション力、規律、生産性等を数段階に分けて各項目を部署間、部門統括と話し合い決定することで、公平性、納得感を精神障害者の彼らと会社側での相互信頼が構築されて、長年の勤務が可能なのではないかと思います。

最後に
障害者雇用は、精神障害者だけではなく、身体障害者(内部疾患、上肢、下肢、聴覚、資格)、知的障害者、発達障害者、高次機能障害の各障害者に対して、まだまだ理解は少ないかもしれない。穿った見方もあるのも事実。しかし、会社(社員全員で)がどう捕らえ、どう対応するか?にかかっていると思います。とのことでした。

今回も出会いに感謝です。ご紹介いただきました丸善運輸倉庫の森藤社長にもこの場所を借りてお礼申し上げます。

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