司法の現場から一転、精神障害者支援と人間として当たり前のことへの再認識

2014-07-07_160818

先週、当社のクライアントであるフレンズNET(本社:さいたま市南区)さんへ決算書類の返却に伺いました。時間がおありな様子で、理事長の市川様に急所インタビューさせていただきました。

フレンズNETさんは、創業者である市川様の奥様や現理事長が司法の世界(更生保護施設)で勤務していましたが、「就職が厳しい、世間からの目も厳しい」等、憤りも感じつつ、(当時は)居場所もなく、彼らのために「生きていることが楽しい」と思えるような居場所を創ることで役に立てるのでは?また、この使命感を持って、平成10年マンションの1室からスタートさました。

市川様の奥様の
「10年の時から得たもの 笑いがいちばん」を読み、泣けてきました。我々は、ありがたい環境で生活させて頂いている。まだまだやるべきことがたくさんある。と実感しました。点線内是非ご一読を。

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「10年の時から得たもの 笑いがいちばん」

平成10年7月に産声を上げたFN工房が10歳になりました。

精神に障害を持った人たちが通える作業所の必要性を感じ、立ち上げよう、絶対に必要なのだという一念で立ち上げに奔走しましたが思ったより難産でした。思いだけで突っ走ったのですから、こういうのを身のほど知らずとでもいうのでしょうか。

 前職の更生保護施設では、非行や犯罪を犯した人たちと生活を共にし、社会で生きていくためのお手伝いをしてまいりましたので、私にとっては未経験の仕事でしが人を相手にするという意味では、同一線上にあると思っていました。10年経って、振り返ってみますと、産みの苦労はありましたがこれは手続き上の問題ばかりであり、関係者に教わりながら一つ一つクリアしていけば、やがて目的に到達するという類のものでした。しかし、出産後はまた違う問題に悩むこととなりました。
 利用される方が増えてきましたが、相変わらず私はもたもたしていました。当時私は59歳になっていました。59歳といえば、世の中を熟知し、人から一目置かれてもおかしくない年齢です。ですが、この年になったのだから何もかも出来る、分かるということが殆どなく今までの人生経験をもってしても立ち往生することが多かったような気がします。

 そういう私が、蹟きつつも10年辞めずにやってこられたのは、「私は得をしている」と心底思えたからです。金銀宝石のようなお金にはなりませんが、血肉になる栄養をたくさんたくさん頂きました。知らない世界に入り込んだが故に、毎日が新鮮な驚きと感動のみならず不安と後悔と、昨日と今日、今日と明日と一日とて同じ日が無いということが、私に生きるエネルギーを与えてくれました。この10年間に私はいろいろなものを頂きました。

 例えば、文字や人の話しを通して頭で知ることと体験を通して知ることの落差がとても大きいこと、人の心を動かせるのは知識でも技術でもないということ、毎日当り前のようにやっている事が決して当り前ではないことなどです。
また常識という枠の中で生きてきた価値観が全てに優先するものではないこと、幸せに生きたいと誰もが強く願っていること、どんな命もその重さにおいては対等であることを知りました。もっとたくさんありますがいくつか拾い出してみても、何もかも頭の中では誰に言われるでもなく解っていたことであり、人にはそのようなことをしたり顔で話していたことも思い出されます。しかし、「あれは本物ではなかった!」ということに気付きました。厳しく刃を突きつけられたように思います。そんな自分と向き合いつつ、過ごしてきた10年はとてもかけがえのない月日であったと思います。そして「あなた随分大変なこと始めたのね」と呆れ顔に話していたカウンセラーをしている友人の言葉を思い出しながら、「いい思いさせてもらっているよ」と返してやろうかなと思っています。

 いろいろな思いが交錯する中で、私は作業所の進むべき道を模索していたのですが、まず皆さんの「笑顔」が欲しい。そして、生まれたからには、「生きていることが楽しい」と思えるような人生が誰にも必要なのだという強い思いでした。自分を閉じ込めて、そんな自分を否定し、不安を感じながら生きているということに深い悲しみを抱き、そして彼らを追い込んでいる社会に憤りを感じました。

そんなことがあって良い筈が無いと実感できたことが、その後のエネルギーになっていったと思います。

FN工房もFNライフも、ここに軸足を置いて全てが始まっています。

 障害を持っていても、社会の人と同じように働きたいという思い、親と離れて或いは亡くしたので一人で生きていきたい、また年齢相応にあれもしたい、これもしたいという思い、このような人として当然な欲求が、全てとはいわないまでも満たされる日常を、いろいろな人の配慮で実現したい、「○○はここに居るよ」と名乗って卑屈にならず堂々と生きて欲しい、そのような思いの中で、まずは「白い歯がこぼれるような日々を」「笑いが絶えない作業所に」と考えていました。思えば10年間灯台の光を求めるようにこの一点を見つめ続けて参りました。理屈は後からついてくるというのが私のスタンスです。笑い
が無いところに活力も、優しさも満足も得られません。

 しかしながら、複雑な精神構造をもった人間同士の付き合いは、病気の有無に関わらず難しいのに、不安定な病状を持ち、今苦しんでいる人と「笑えるほどに幸せな時間」を共有することの難しさをひしひしと感じたのも事実です。
 開所して間もなく、それまではこわばった顔で過ごす日が多かった50歳台のメンバーさんが何かの拍子に声をたてて笑いました。「あっ わたし、笑った!何年ぶりで笑っただろう」と叫びました。その後、彼女は皆とスムーズに話が出来るようになりました。わたしは「やった!」と思いました。
 外から人が訪ねてくると、みな木立の木のように黙り、こわばった顔で固ま ってしまいました。このとき人と人を繋いでいくことが私の仕事だとも思いました。まずはメンバーさん同士、次は訪問者、互いに「こんにちは!」と言えたら、そして世間話が出来るようになったら・・・と、これこそが社会人として生きていく第一歩だと思いました。

今はどうでしょうか? 
外部から見えた人に対しては挨拶だけでなく、おもてなしも出来るようになりました。黙っていてもお茶が出てきます。「気をつけてお帰りください」なんて10年前は一人も言えませんでした。

 こうして10年を一区切りにして反省の意を込めて振り返えってみますと、人の集まり程厄介なものはなく、しかし、これほど素適なものはないということです。とかく心の行き違いや果ては喧嘩や不協和音が生じたり、理由も告げずに辞めていった人がいらしたり、良いことずくめではありませんでしたが、実はこの様々のトラブルが職員を、メンバーさんを育てていったと思います。

 負の経験によって、互いに育ち合い、補い合い、多少の癖やトラブルがあっても集団として飲み込んでしまう力が育ったことを嬉しく思っています。それはとりもなおさず一人ひとりの成長でもありました。開所した初期の頃、人と人を繋ぐのが私の仕事と一つの目標をたててから10年少しずつ実ってきたのかなと思う今日この頃です。

 後々FN工房・FNライフを利用された仲間が、元気になって「今日はいい日だった」と思うことができたら。。。そんな日々が明日につながる日々となることを願ってやみません。今後とも、共に支えあい、学びあい、「生きているって楽しい」そんな作業所であり続けたいと願っております。

 最後に「自分を縛っているものを解きほぐそう。そこから新しいものが見えてくるよ」といいたいと思います。
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この点線内に「人間としての幸せ」が盛り込まれています。精神障害者という形で関わっておらず、人として当たり前の「人間関係のこと、笑うということ、年齢は関係ないこと継続すること、成長=おもてなしのこと、組織として結果補いあっていること」は、一般社会でよく起こり得ることで、これらが実践できていいれば、企業(組織)文化も相当に改善されると改めて再認識した次第です。

今回も素晴らしい出会いに感謝感謝。

最後に会社概要を。
フレンズNETは、精神及び知的障害を持った方を対象として、障害者総合支援法に基づく2種類の障害福祉サービス事業を行っています。

1.就労移行支援事業
2.就労継続支援事業(B型)

■仕事の提供
 フレンズNETでは、仕事の内容ごとに8つの事業部を設けて就労の機会を提供しています。

①製菓事業部
 シフォンケーキ、プラウニー、チーズケーキなどの各種焼き菓子とリンゴ、イチゴ、トマトなど季節に応じた各
種ジャムを手作りしています。出来立ての製品を直売店にて販売するほか、委託販売もしています。
②製麺事業部
 埼玉県産100%の小麦粉と国産原料100%の塩を使用。これる、踏む、伸す、切るなどの各工程は完全手作
業。出来立ての生うどんをパック詰めにして直売店にて販売しています。
③手工芸事業部
 布製おもちゃやフェルト絵本、バッグ、ビーズアクセサリーなどの創作品を作っています。お互いに新商品の開
発にアイデアを出し合って、品質向上に努めています。製品は直売店にて販売するほか、委託販売もしています。
④清掃事業部
 民間の清掃会社から業務委託を受けて、消費者金融のATM施設に出張して清掃作業を行っています。このほかに、
埼玉ピル(当事業所入居)や近くのマンションの浦掃業務をピルオーナーから委託を受けて実施しています。
⑤社員食堂事業部
 1か月ごとにメニュー表を作成し、各事業部で働いている仲間や職員から予約を受けて、毎日数名の利用者が調
理をして、日替わりランチとコーヒーを社員食堂で提供しています。
⑥直売店事業部
 施設に併設されている直売店では、当事業所製品を展示販売しています。販売は数名の利用者がローテーション
を組んで勤務しています。お客様への対応の仕方についての勉強会をして接客マナーの向上に努めています。
⑦家内清掃事業部
 各事業部で使用したエプロンなどの洗濯物を回収し、洗濯機にかけ、干して、アイロンかけをして、各事業部へ返します。
⑧惣菜事業部
 1か月ごとにメニュー表を作成し、各事業部で働いている仲間や職員から予約を受けて、週に3回、持ち帰
りの出来るお惣菜を調理して販売をしています。

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