就労移行支援事業所の経営についての考察

移行率2604現在

今回、平成27年4月1日より、障害福祉サービスの報酬体系が大幅に変わります。私の関心はやはり就労系の内容で「就労移行支援事業」です。

就労移行支援事業所の考え方は、「一般就労」を目指す方に職業訓練をするという内容です。詳細は以下のとおりです。

■就労移行支援の定義
就労を希望する65歳未満の障害者で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者に対して、①生産活動、職場体験等の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、②求職活動に関する支援、③その適性に応じた職場の開拓、④就職後における職場への定着のために必要な相談等の支援を行う。
(利用期間:2年)
※ 市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認められた場合に限り 最大1年間の更新可能

■対象者
① 企業等への就労を希望する者
② 技術を習得し、在宅で就労・起業を希望する者

就労移行の制度は、2006年10月、障害者自立支援法が完全施行の際に新設された制度です。その間、たくさんの事業所が出来、就職者もうなぎのぼりに増え(7,717人/ H24年度)の一定の期間で成果が出てきているものの、就労移行支援事業所通所(訓練)後、就職者が1人もいない事業所が平成26年4月現在では、1038施設数のうち364事業所(35.1%)あるという事実です。364事業所が多いか少ないかという話より、なぜそうなっているかを深く考えてみたいとおもいます。

考えるにあたり、少し統計や現制度、運営上重視していることを理解する必要があります。

国の政策として、就労移行支援については、効果の上がらない事業者の撤退を促すため減額を決定。一般就労への移行実績が過去4年間ない事業者は所定額より50%、過去3年間なければ30%、過去2年間なければ15%減額する。との毎日新聞の記事。
http://mainichi.jp/select/news/20150213k0000m040070000c.html

改正の内容にもう1ケ大きく変わる内容があります。

それは、定着です。

「就労移行支援体制加算」を廃止し、就労定着支援体制加算を新設した点です。端的に申し上げますと、就職後の定着支援を充実・強化するということです。どういうことかと申しますと、障害者(特に精神)が企業に就職して、長く勤務していない事実、改正前の制度内容は、就労移行支援事業所の就職後フォローは半年で考えている点(事業所に寄っては、半年以上長期に渡り定着支援している事業所も存在します。)を改正し、就職後(就労継続期間)36ケ月は、報告及び支援する必要があるということです。

改定詳細は点線内のとおりです。 出典:厚生労働省
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○ 就労定着支援体制加算【新設】
一般就労への定着支援を充実・強化するため、基本報酬の見直しを行った上で、現行の就労移行支援体制加算を廃止し、利用者の就労定着期間に着目した加算を新たに創設。
※就労継続支援A型に移行した利用者は、就労定着実績には含まない。

・就労継続期間が6月以上12月未満の利用者の場合 利用定員に占める割合に応じて、29~146単位/日を算定
・就労継続期間が12月以上24月未満の利用者の場合 利用定員に占める割合に応じて、25~125単位/日を算定
・就労継続期間が24月以上36月未満の利用者の場合 利用定員に占める割合に応じて、21~105単位/日を算定

○ 一般就労への移行実績がない事業所の評価の見直し
一般就労移行後の就労定着実績がない事業所の減算を強化するとともに、一般就労への移行実績がない事業所に対する減算を新たに創設。
※就労継続支援A型に移行した利用者は、就労移行実績及び就労定着実績には含まない。
【現行】
・過去3年間就労定着者が0の場合 所定単位数の85%を算定
・過去4年間就労定着者が0の場合 所定単位数の70%を算定
【見直し後】
・過去2年間就労移行者が0の場合 所定単位数の85%を算定
・過去3年間就労定着者が0の場合 所定単位数の70%を算定
・過去4年間就労定着者が0の場合 所定単位数の50%を算定
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ここまでが制度の説明です。

就労移行支援事業者が運営上重視していることは、2ケあり、定着率と就職率なのです。定着率、就職率を考えた場合、いつまでの期間をどう設定しているのが(過去)疑問がありました。

■就職率
仲間に問うと行政申請報告の際は、1日のみでも率に参入可能。

■定着率(改定前)
仲間に問うと就職後、行政申請報告の際は、6ケ月。となるそうです。
今回の改定(平成27年4月1日)より年数期間が伸びるので、どういう算式になるか定かではないですが、個人的な考えですが、実績ベースで、%で表示するのではなく、細かく3分類して、人数で表示するのが明確な気がします。

今回の改正で定着率の算定方法も変わると思います。数値が良いのは、間違いない事実ではあるが、障害福祉の場合、一概にそうとも言えないとおもいます。あるサイトで投稿(毎日新聞のURL等を)させていただいた際、以下の意見をいただきました。

<Z氏>
就労移行支援について、撤退を促すだけでなく効果の上がらない理由を把握した結果を公表してから環境の整備に入るべきと思います。
実態把握について何の公表も無く、ルールのみの変更では、結局受け皿不足の状況を作るのみかと思います。

<K氏>
結果に繋がらないながらも通所者の事を真剣に考えている支援機関もあります。他の方もおっしゃっていますが、途中での指導はどうだったのでしょう?いつも思いますが、「去年こうだったから」等と後出しで基準を変えるのは違和感があります。

<Y氏>
型や移行支援は減算ばかりで、きちんとやっているところのやる気につながらないと思います。減算と加算のメリハリをもう少しつけるばきだと思ったのですがいかがでしょうか?
更にA型の短時間就労者を一律に減産すれば、スモールステップでしかできない人々の排除がおこらないか心配です。

■今回ブログの掲載推移表(考察の源)
「就労移行支援事業による一般就労への移行率別の施設割合の推移」で、平成26年4月現在では、1038施設数のうち364事業所(35.1%)あることを示す推移表です。平成20年4月より7年間統計と毎年取っていますが、就労移行できている事業所%もアップしています。見方を変えれば、二極化しているということも言えます。

多面的に関わる方々の視点も以下のとおり加えてみます。

■要素1(地域による視点)
都内23区及び政令指定都市と10万人の都市での事業所を開設、運営するのに、どの就労系サービスが良いか?また、受けたいか?読者の方もそう思われるはずです。そうなんです。たとえば、10万人の都市で、交通の便があまり良くない地域では、就労訓練も大事ですけれども、働くことが重要で、政令指定都市に比べ圧倒的に企業が少ない。そうなると必然的に賃金のA型、工賃のB型、無料訓練の就労移行支援の選定順位になるのではないでしょうか。はやり、生活のためです。賃金で生活をしていく視点に加え、役所(県や市区町村)がどの程度、障害者支援を重要視しているかによって、地域連携も変わり、街が出来てきます。

■要素2(事業所の特徴の視点)
事業所の特徴を考察するに、都内23区及び政令指定都市での開設か10万人の都市での開設かにより、訓練内容が変わってくるのではないでしょうか?都内23区及び政令指定都市では、事務系の求人も多く、清掃や軽作業等多彩な求人があると思います。しかし、10万人の都市では、求人数も少ない=就労移行先も少ないということです。

■要素3(就職先の企業の開拓と関係性)
どの支援機関も実習先確保は苦労れている、また、中小企業を開拓したいという支援側の想いもあるかと存じますが、実習を受入るのに人数配置に余裕がない中小企業には、負担感は相当あると思います(皆様デリケートなことなので言わないだけです)。

また、正直なところ負担感はあるのが本音ではないでしょうか?大会社は、労働生産性が高く、人員配置に多少の余裕があるかもしれませんが中小企業は、全くないのが現状かと思います。当社だけの問題ではなく、施策レベルで実習のあり方について、早急に検討
する必要があると思います。

想いを持って、障害者雇用の良さや政策を理解し、準備、スタートすれば、多少なりとも中小企業含めた障害者雇用は、促進される可能性は高いと思いますが、そこまで、考えている、障害者雇用を重要視している企業は、法定雇用率未達成企業も55.3%から見てもそう多くないはずです。施策上、中小企業の障害者雇用が(特に精神や発達)には個人的に思いますが、そう簡単ではないと切に思います。

■要素4(国の施策の視点)
国の施策は、全体最適な感じではありますが、多様化している障害者の施策を立案するのも大変な作業ではないかと思いますし、細かい要望にも応えなければならないと考えているがそれに追いついていない。毎年、障害福祉サービス含めた社会保障費も年々増加、一方で、税収も減り、予算編成がきつい現状も理解する必要、例えば、前年度の予算の1%は増加するが予算要求がそれ以上になり、どこかの予算を抑制しなければならない。その代表例が介護保険の削減(前年比減少)があります。

世界的な流れでは、国連の障害者権利条約に批准(日本国の批准は2014年1月20日付けで国際連合事務局に承認)したこともあり、平成28年4月には、施行されるので法整備と告知と啓蒙が急速に必要となっている背景も加わります。

■要素5(国の施策は、各県および政令指定都市で決定実行の視点)
各県および政令指定都市は、障害福祉サービス費用を負担(国50%、都道府県25%、市区町村25%)するわけですが、財政面では、予算執行も厳しい現状は容易に察することができます。国は、地域での事情を加味すれば、全国統一で細かなところまでは、できないので、各県、各市区町村に大枠での国の方針権限を渡しています。たとえば、ある障害福祉サービスでリワークを行うのがA市ではOKなのに、B市では不可という状況が発生(B市には、病院が多かったり、特定の受託機関に委託など)します。また、各県、市区町村での障害福祉サービス利用申請が多いと財政負担があるという事実もあります。

■結論
要素1~要素5を考慮すると障害者雇用の主体は企業中心に給料を支払っている側なので、特に数の多い地域になじみやすい企業側(特に中小企業)の受入態勢の強化や実習受入の積極的な企業に支援指導や補助金での支援実施、啓蒙活動等施策としておこなわなければ、障害者雇用(特に精神と発達)の促進には、効果が薄いと感じています。
*たとえば、効果が高い施策とは、実習受入の時間に対し、助成金を時給1500円~2000円程度支給、共に関わることで、仕事をすること、人間関係を形成すること、会社と障害者当事者お互いをよく知る良い機会になり、就職後の就労継続及び雇用継続の実現性は、かなり高くなります。

本ブログの中で、誤っている事項や考え方がありましたら、

お問い合わせページ
http://www.jiritsushien.com/top-page/contact/

より、ご意見や正確な情報等いただければ幸いです。
返信は出来る限り早めに行いたいと思います。

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